ぷんギターズ Blog

ぷんギターズ【公式】のブログ。アコースティックギター、ヴィンテージギター、好きなことをぽつぽつと。ピエール・ベンスーザン、ジェイソン・ムラーズ、森山直太朗、ジュリアン・ラージが特に大好物

続・はじめてのMartin(古材化処理VTSに想うこと(後編))

 僕がこの連載ブログ『続・はじめてのMartin』を始めようと思ったきっかけは、既にご紹介済みの“00-18 Authentic 1931”と“000-42 Authentic 1939” という2種類のオーセンティックモデルが共に素晴らしく印象的であったが故に、昨年春に僕にとってのはじめてのMartinとなった “D-28 Authentic 1941” を購入して以来久しぶりに、新たなギターの購入意欲がフツフツと湧いてきてしまったことによる。

 

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※写真はギタープラネットさんより拝借
 
だから隠すまでもなく、いま僕は、これらの2本のギターが欲しくて仕方ない。
 
 
『欲しいさ。ああ欲しいよ。オレはあいつらが欲しいのさぁっっー!!!』
 
 
・・・とはいえ。
当然ではあるが、欲しいんだからじゃあ両方買っちゃいますか!、とそう簡単なはずもない。どちらかと言えば僕は、慎重で保守的なタイプなのである。
 
そして、その僕の保守的キャラクター以外にも、これらのギターを “即買いです!” とならない理由がもう1つあるのだ。そう。それはこの2本のオーセンティックが共に“VTS仕様”だということである。
 
ここで改めて断っておくが、VTS仕様のギターがヴィンテージギターのような軽快で抜けの良い素晴らしい音色を持っていることは、前回の記事で書いた通り、少なくとも僕にとっては紛れも無い事実である。
 
そんなVTSの魅力を嫌というほど承知した上で、あえて、この面倒くさくてややこしい僕の厄介な気質が生み出す、もしかしたら他の方々にはまったく意味不明かもしれない僕のモヤモヤを、こっそり綴ってしまおうというのが今回の試みである。
 
従って、VTS仕様のギターを批判するとか、あるいはケチをつけるとか、そういう類いの意図では決してないので、その点ご理解いただければ非常にありがたい。
 
■さて。
まず1つ目のモヤモヤは、“VTS処理されたギターが経年変化したらどんな音になるのか?” ということだ。当然、優良グローバル企業であるMartin社のことだから、数年から10年程度の実証テスト期間を経ての製品化となったであろうと想像するので、VTS処理された材の経年変化による音色や耐久性への影響については、ある程度は検証済みだろうと思う。
 
とはいえ、50年とかそれ以上の期間を経た時、つまり、新品なのにヴィンテージのような音色がするように作られたVTS仕様のギターが “真のリアルヴィンテージ” となった時に、それが一体どんな音色となるのかは、さすがにMartin社自身も分からないのではなかろうか?
 
とかいいながら、僕なんてこれから大いに長生きしたとしたって、ギターを弾けるのはあと50年もないだろう。だからそんな先のことを考える意味は実際ほとんどないんだけどね。でも、気になるものは気になるのだ。あー、気になる。
 
 
■2つ目のモヤモヤは、VTS処理によって目指している強制経年変化の年数、つまりVTS処理が果たして何年モノのヴィンテージギターを目指しているのか?ということだ。
 
どうやら現時点でのVTS仕様には、①1930〜1940年頃のマーティン黄金期、つまり今から80年くらい前のいわゆるゴールデンエラのヴィンテージギターを目指したもの(M1)と、②1800年代後半、つまり120年くらい前のヴィンテージギターを目指したもの(M2)の2種類があるらしい。
 
ちなみに冒頭に写真で紹介した2本のオーセンティックも含めて、最近見られるVTS仕様の大抵はM1仕様のものだと思うが、珍しいM2仕様のギターを見つけたのでご紹介。
 

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Martin Custom OM-42
※写真はイケベ楽器さんから拝借
 
さすが(仮想)120年モノだけあって、ずいぶんこんがり焼けてます。ちなみに、オリジナルのOMが初めて製作されたのは1929〜30年頃だったはずなので、2017年現在で約90年モノ。従って、120年モノ相当のM2レベルのVTS処理がなされたこのOMは、理論的には世界で一番古い音のするOMってことになります。オリジナルを超えちゃった!?
 
・・・で、何がモヤっているかというと、このM1、M2などのVTS仕様はこの先どうなっていくのかという点。例えば30年後とかはどうなるのよ?つまり、2017年現在ではゴールデンエラを目指したM1は80年分早送りするためのVTS処理が必要だけど、30年後だと同じくゴールデンエラを目指すには110年分早送る必要があるわけですよね?それとも30年後はゴールデンエラ期のギターを目指すのではなく、単に現在のM1同様にその時点から80年分早送りすることを目指すのでしょうか?同じようにM2でいえば今は120年分早送りしてるけど、30年後は150年分早送りするんでしょうかね??それともやはり120年分だけ早送り??
 
・・・もはや訳わからんけど、気になってしょうがない。
 
 
■そして最後に、先ほどの話の続きで、更にモヤモヤすることがある。それは、古きものへの憧れも含めて一般的によく言われているような『いわゆるゴールデンエラ期のMartinギターは総じて素晴らしい音がする』という説が仮に事実だとしても、それは必ずしも『ゴールデンエラ期のMartinギターは、製作から80年経った頃が特別に最高の音がする』という話ではないのではなかったっけ?という点だ。
 
つまり、早送り度合いの少ない方のM1でさえ、何故にいきなり80年分も早送りしちゃうのかというのが、僕にとって非常にモヤモヤするのである。同じゴールデンエラに作られたギターが80年ではなくて、例えば30年経った頃でも、それはそれでまた違ったいい音を響かせていた可能性はないのでしょうか?あるいは10年程度経ったくらいでも、なかなかの音だったかもしれないじゃない?それを全てすっ飛ばして、いきなり80年も早送りしちゃうのって、なんだか凄くもったいなくないですかね?
 
まぁ先ほどの例のように、色々考え始めると訳が分からなくなるVTSなので、マーケティング的には分かりやすく『あのゴールデンエラのヴィンテージと同じ枯れ具合です!』っていえる仕様で製品化スタートしたのは、ビジネス的な視点では非常によくわかる話なのだが、これからこの先どうしていくのかは中々悩ましいのではないかしら? 例えば将来的には10年刻みとかで、早送り年数をかなり細かく指定して、好みに応じたVTS処理ができるようになったりするのかね?でもホントにそんなことになったら、中古ギター市場は混乱するね、きっと。
 
『このギターは30年モノですが、50年早送りVTSなので、80年前相当のヴィンテージの音です』
 
『そしてこちらは50年モノですが、30年早送りVTSなので、やはり同じく80年前相当のヴィンテージの音ですね』
 
『更にこっちは、ナント60年モノ!!でもVTSじゃないので、音は1番若いんですよね!!ワハハ』
 
・・・って。
中古楽器やさん、ほんと大変だよ。。。
 
 
さて、こんなに色々と妄想遊びのできちゃう悩ましいVTSですが、最後にこちらをご覧あれ。
 
Martin CTM OM Style 45 Adirondack VTS / Cocobolo
 
ぐぬぬ。
なんなんだ、この艶とハリと圧倒的な色気は。なんだかんだいっても、この音の凄みは決して否定できぬぞ。
 
 
 
つまりこういうこと。
 
 
 
・・・VTS 最高かよ!
 
 
(続く)

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