ぷんギターズ Blog

ぷんギターズ【公式】のブログ。アコースティックギター、ヴィンテージギター、好きなことをぽつぽつと。ピエール・ベンスーザン、ジェイソン・ムラーズ、森山直太朗、ジュリアン・ラージが特に大好物

はじめてのトラゴット(宙に浮くブレイシングの謎)

昨日の更新記事にてローデンの内部構造を取り上げたので、トラゴット連載ブログ第2話となる今回の記事では、同じくトラゴットのギターの内部構造について、これまでに僕が調べられた範囲で書き記してみます。
 

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ちなみに、この情報収集にあたって2冊の古い雑誌のバックナンバーを手に入れました。
 

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アコースティック・ギターマガジン(2001年2月)と、アコースティック・ギターブック(2009年1月)。
 
写真左のミスチル桜井さんは、サラサラヘアに天使の輪が…。若いぞ!
 
そして写真右はSanta Cruz Guitar社の総帥(当時)リチャード・フーバー氏。ちなみにジェフ・トラゴットは、そのSanta Cruz社の社員としてギター製作を行っていた経歴を持ちますが、これについてはまた別の回で詳しく取り上げてみたいと思います。
 

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どちらの雑誌にも、数ページに渡るジェフ・トラゴットの記事が掲載されています。
 
さて。
トラゴットのギター構造で、まずひとつ特徴的なのは、トップのブレイシングとして一般的に使われている棒状のパーツに加えて、薄い板のようなパーツが多用されていることです。
 

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写真でわかる通り、サウンドホールの周りを囲むように貼り付けられた五角形の薄い板、そしてXブレイシングの外側両サイドにも薄い板が2枚使われていますね。更に、この写真では見切れてしまっていますが、この記事の冒頭の写真を見るとわかるように、一番上に横長の板も見て取れます。
 
僕にはその効果のほどを語れるような知識も経験もないのですが、曰く、音響面と強度を考え抜いた上での最適なセッティングなんだそうです。ふむ。
 
 
ふたつめ。
写真だけではわかりませんが、写真で茶色い板が貼られているブリッジプレート部分にも、ひと工夫があります。
 
弦のボールエンドとギターのボディーが強く接触する点となるブリッジプレートは、ギターの構造上、非常に重要な個所らしいのですが、通常、マーティンをはじめとして、ブリッジプレートにはメイプルの板が使われて、そのメイプルの木目が、バック材の木目と直交する(直角にクロスする)ように貼り付けるのが良いとされているそうなのです。これによって、弦のテンションや振動をブリッジプレートがしっかり受け止めることができるんだと…。ほぅ。
 
それに対してトラゴットは、同じくメイプルの板をかなり薄く加工した上で、あえてバック材の木目とメイプルの木目が並行になるように設置することで柔軟性を増し、その上にブラジリアン・ローズウッドの薄い板を、今度は木目が直交するように重ねて貼り付けることで、強度を補うという手法を取っているそうなのです。ほぇぇー。
 
もはや音がどう変わるのか全く想像つきませんが、こんな細かいレベルでの工夫がサウンドに影響するということなんでしょうねぇ。。。
 
全然ピンとこないけど、とりあえず…ふむふむ。(←ヘーボタン的なやつ)
 
 
 
そして最後は、トラゴットのギターの内部構造において非常に独創的なのが、この『宙に浮くブレイシング』です。
 

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わ、浮いてる!
 
 
まるで、横たわったパツキン美女がそのまま宙に浮く古典的マジックのように…浮いてる!
 

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雑誌記事によると、もともとギターリペアを数多く経験してきたトラゴットは、以前から、ブレイシングが4本走る横方向の強度に比べて、1本しかブレイシングが無い縦方向の強度が足りていないと考えていたそうで、そのために1本縦方向のブレイシングを追加したそうです。それも直接バック材に付けるのではなく、横方向に走る4本のブレイシングに設置することで、立体的な構造としたのです。
 
そして、ここでもやはりブリッジプレートと同様に、バック材に直接貼り付けている1本目のブレイシングは木目が直交するようにし、そして宙に浮かせて取り付けている2本目のブレイシングは木目が並行となるようにして取り付けることで、強度と柔軟性を絶妙なさじ加減で両立させているのだそうです。
 
さすが巨匠…課題解決のためのアプローチの発想が豊かすぎます。
 
もはや感心するのみの…ふむふむふむふむ!!(←ヘーボタン連打)
 
 
 
ちなみに、これらの『2枚構成ブリッジプレート』と『宙に浮くブレイシング』は、2008年頃に新たに取り入れられた仕様のようで、それ以前のトラゴットのギターにはありません。正確にいつからなのかは確認できていませんが、2009年1月発売の雑誌で、本人がこれらを新たな仕様として語っていますので、きっとその1〜2年前くらいに発明されたのではないかと推測します。
 
巨匠いわく、『これらの新しい仕様のお陰で、ボリュームが増し、低中高音すべての音が良くなり、毎回コンスタントに自分が求めているサウンドが出せるようなった』…のだそうで。
 
そのサウンドがこちら。
 
 
ボディーはOMを少しだけ大きくした程度のModel Rです。確かに低音すごいし、高音もキラキラ。
 
そして、なんだかちょっと、マーティン40番台のサウンドニュアンスを感じるのは僕だけでしょうか…?
 
 
ちなみに巨匠のギターへの探究心は尽きることなく、さらなる改善のための新しい構造の研究は日々行われているらしいので、2018年2月末に出来上がる予定の僕のギターが、ここに紹介した通りの仕様になっているとは限りません。
 
でも、もし違っていたとしてもそれは、巨匠が自らの過去の作品を超える新しい仕様の開発に成功したということに他ならないわけであり…。
 
 
 
なんだか、おら、わくわくしてきたぞっ!
 
(続く)