ぷんギターズ Blog

ぷんギターズ【公式】のブログ。アコースティックギター、ヴィンテージギター、好きなことをぽつぽつと。ピエール・ベンスーザン、ジェイソン・ムラーズ、森山直太朗、ジュリアン・ラージが特に大好物

ASK価格のギターに挑む(後編) - 1954年製 Fender Telecaster オリジナルブラックガード -

2冊のテレキャスター本の知識を慌ただしく頭の中に叩き込んで、いざヴィンテージギターショップへ突撃!
 
 
…となる今回の記事ですが、
 
 
最初にお伝えしておきます。
 
エレキギターのヴィンテージショップ界隈。
ある程度予想はしていたものの、それはもうほんとに…
 
 
 
魑魅魍魎が跋扈する
(ちみもうりょうが ばっこする)
 
 
…なんともいえない妖気の漂う世界でした。
 
 
 
え?魑魅魍魎?
こんな漢字見たことない!
意味なんてわかるはずもない!
ついでに跋扈ってなに全然わかんない!!!
 
 
…ですよね。
その気持ちわかります。僕もこんなややこしい言葉、生まれて初めて使いましたもん。
 
 
“魑魅魍魎が跋扈する”とは、『妖怪や化け物』(=魑魅魍魎)が、『我が物顔で居座ったり、歩き回ったりしている』(=跋扈する)というような意味です。
 
 
言葉としては、以前から知っていたんです。
 
社会人になりたての頃、ずいぶん上の偉い人が使ってました。どんな文脈で使ってたかは全く覚えていませんが、なんだかこのおどろおどろしい独特の雰囲気を持った漢字と、その言葉の意味合いがあまりにマッチしていること自体に、漢字って素晴らしい!と感銘を受けた記憶があります。
 
 
あれから20年超。記憶には残っていたものの、この言葉を自分で使ったことは今まで一度もないです。というより、そもそもこの言葉で表現したいと思えるような事柄や出来事が全くなかったわけで…。
 
つまり“バルス”みたいな扱いだったわけです。
 
 
 
そんな20年以上もの封印を解いてまで、使わざるを得ない、ここで使わなくて一体いつ使うというのだ?とも思えるほどに、僕にとって、エレキギターのヴィンテージショップ界隈は “魑魅魍魎が跋扈する世界” に感じられたわけです。
 
例えば…
 
●価格はほとんどASK
※まぁこれは色々事情があるのでしょうから、よしとします
 
●メールで問い合わせても、営業日のはずなのに2、3日返事がない、あるいは結局最後まで返事が来なかったお店もいくつか…
※もちろん、営業日24時間以内に返信をくださったお店も多いです
 
●メールでは価格回答は不可。連絡先をメールすると翌日お店から電話がかかってきて、口頭でのみ伝えられるお店も…
※もちろん、メールで回答してくれるお店もあります
 
●“価格はxxx万円。ただし今月末までxxセール期間なので、xxx万円です(50万円以上の値引き)” みたいな、二重価格表示的なお店もちらほら…
 
 
その他これ以外にも色々ありましたが、あまりに詳細な事柄なので、ここでは控えます。
 
 
 
もちろん、
きっとそれぞれのお店には、それぞれ事情があるのだろうとは思いますが…
 
 
はっきり言わせてもらうと、
 
 
極めて高額な商品を扱っている業界にしては顧客対応が成熟した印象のないお店があまりに多い。
 
 
今回この記事を書くにあたって、僕がヴィンテージテレキャスターの購入経験から感じた事は一体なんなのかを自問自答した際に、それほど間を置かずして自然と頭の中に浮かび上がってきたのが、まさしくこの “魑魅魍魎が跋扈する” という言葉でした。
 
僕が20年間抱いていた魑魅魍魎という言葉のイメージを、これほどまでに見事に表した現実世界は他にないのではと思えるほど、僕が初体験したエレキギターのヴィンテージショップ界隈は、まさしく魑魅魍魎。
 
 
それはもう怪しい妖気むんむん。
 
こちらは何も悪いことしていないのに、なんだか違法なブツをこっそり手に入れようとでもしているかような、後ろめたい気持ちにさせられるダークサイドがそこにはありました。
 
 
 
魑魅魍魎は…
ありまぁすっ(>_<)!
 
 
 
…。
 
 
 
 
とはいえ、
 
そんな魑魅魍魎な世界の中にも、オアシスのような素敵なお店が、2〜3店舗はありました。
 
当然この時点で、購入対象候補となるギター個体のすべてについて、価格はもちろんのこと、ギターパーツのオリジナル度、全般的なコンディションなども十分に確認できていましたので、あとはどのお店に突撃して、どのギターを弾かせてもらおうか…。
 
 
オアシスなお店に在庫していて…
僕が欲しいと思える個体のギター
 
 
この時点で、僕にはもはや、このお店のこの個体しか見えていませんでした。
 

f:id:punsusan:20180929094444j:plain

1954年製 Fender Telecaster
 
 
こちらのHyper Guitarsさん。
 
問い合わせへの返信が早くて、とにかくやり取りが気持ち良い。良いお店に共通するこの心地よいリズム。
 
つまり、お店と顧客、互いのやり取りが生み出すグルーヴ感ですよ。これ、楽器屋さんなんだからチョー大事っしょ🎶
 
 
 
こうなってしまうと、居てもたってもいられなくなるのが僕の悪い癖。
 
早速、あのギターを弾かせて欲しいと事前にアポイントを取った上で、お店に訪問しました。
 
 
場所は東京 新大久保。
あのマーティン総代理店クロサワ楽器総本店の斜め向かいの細い階段を下ったその先に、ヴィンテージギター好きにとっては、まさしく都会のオアシスとしか思えないステキな空間か広がっていました。
 
 
広々としたワンフロアの店内には、所狭しとヴィンテージギターが並べられています。
 
部屋を取り囲む壁一面のガラス張りショーウィンドウの中には、さぞかしレアなヴィンテージなんだろうと思わせる独特のオーラを纏ったギターたちが整然と飾られ、地下とは思えない清々しい空気が漂います。
 
この圧倒的な空間に自分自身を少し馴染ませるための時を経た後に、とても丁寧な店員さんが、お目当てのギターを目の前に持ってきてくれました。
 
 

f:id:punsusan:20180929094453j:plain

 
なんなんだこの色気は…。
 
ブラックガード定番のバタースコッチ色というよりは、シースルーベージュのようなブロンド。アッシュの杢目も綺麗で、何かにぶつけたと思われるいくつかの傷も似合いすぎるほど似合ってる。
 
 
そしてこの個体、なんとボディが1ピース!
 
実はブラックガード期のFender Telecaster、発売当初こそ1ピースボディが多かったようですが、1954年の最終期に近づくにつれて、ほとんどが2ピースボディで製造されていたそうです。これ、例のBlackguard専門書から得た知識で役に立ったことのひとつ(笑)。
 
なので、1954年製で1ピースボディというのは、なかなか運の良い個体なのです。
 
 
そして次に…
 
ネックが1ピースメイプルなところは、全く特別なことではないのですが…
 

f:id:punsusan:20180929094501j:plain

 
 
この個体のネックはなんと…
 

f:id:punsusan:20180929094508j:plain

 
バーズアイ・メイプル!(チョットダケヨ)
 
 
アコースティックギター大好き、杢目大好きの“木フェチ病木族”の一員である僕にとって、この1ピースボディ&バーズアイ・メイプルネックの軽やかなワンツー攻撃は、それこそボディーブローのようにジワジワきたわけで…。
 
 
さてさて。
いよいよ試奏です。
 
レジカウンター横にある、ヴィンテージアンプがうず高く積まれた個室(防音室)に通され、店員さんが手早くFenderアンプに繋いで音が出ることを確認した後、おもむろにギターを渡されます。
 
…ずっしり重い。
 
 
『では、なにかありましたらお声がけください』
 
…と、店員さんは静かに個室(防音室)から出て行きました。
 
 
 
…おやおや?
 
なんだかちょっと気恥ずかしい感じです。
 
この妖艶なギターと…
お部屋に2人きり…
誰も見てないし、聴こえないのに…
なぜかとっても緊張…
 
とりあえず、最近アコギで練習中のジュリアン・ラージの曲を弾いたりして、なんだかモゾモゾするような、この時と空間を埋めてみます。
 
 
そんな緊張空間の中でも、やはりサウンドは凄いです。
 
カリカリだけど、太い。フロント・リア・ミックスと、太さ、甘さ、ドライさ、キレが、それぞれ絶妙にブレンドされていきます。
 
とにかく、右手が弦に触れたニュアンスそのままが増幅されて、一切のタイムラグなく、ばーんって出ていく感じ。出ていって欲しい音も、出ていって欲しくない音も、関係なく、即座にばーんって出ていきます。
 
 
…こ、これは手ごわい
 
弾き手の全てを曝け出す
恐ろしいほど正直なギター…
 
ジュリアン・ラージが愛用するわけ…
わかったような気がするよ…
 
ほ、ほしいーーー♡♡♡
そんでもってここ、めっちゃ良いお店♡
 
 
ちなみにその後、人から聞いたところによると、Hyper Guitarsさんって、ヴィンテージギターショップとしてはかなり有名な老舗ショップさんなんですね。知らなかったけど、やっぱりね。納得。
 
そして僕が試奏させてもらったあの防音室は、ギターの腕がプロ並みということでも有名なハリウッドスター、ジョニー・デップさんが、2012年の来日の際に何時間もヴィンテージレスポールを弾きまくったという、まさしくその部屋だったようです。
 
 
 
やっぱりねー。
なんだかんだいって客はお店を見てますし、最後には見破りますからね。
 
そのお店が魑魅魍魎の巣窟なのか、
それともギター愛に満ちたオアシスなのかを…
 
 
これほどまでにインターネットが普及していない時代ならいざ知らず…
 
お店側と顧客側との情報格差のみに依存して、うまい汁を吸おうとするような商売は、今の時代、きっと長くは続かない。
 
 
今回伺ったHyper Guitarsさんからも、この事を改めて学ばせていただいた気がします。
 
ちなみにハイパーギターズさん。
決してお安くはないですが、お値段も、僕がブラックガード期のテレキャスターの価格分布を調べた限りにおいては、比較的リーズナブルと思われる価格帯域に入っていました。
(※ あくまで、ぷんスーザン調べに基づく
 
 
ということで、
 
3回に渡った連載記事『ASK価格に挑む』。
最後までありがとうございました!
 
また近いうちに、この度ハイパーギターズさんで購入した1954年製 Fender Telecaster について、詳しく書いてみたいと思います。
 
もしかしたらみなさんの周りにも、もっと違った形の魑魅魍魎が跋扈する世界があるかもしれません。探してみてください⁉︎笑
 
(お・し・ま・い)

※このギターのフォトギャラリーは【ギターコレクション by ぷんギターズ】のページでご覧いただけます。→Fender Telecaster (1954) | ぷんギターズ

 

blog.punguitars.com

 

f:id:punsusan:20180929200750j:plain