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ぷんギターズ【公式】のブログ。アコースティックギター、ヴィンテージギター、好きなことをぽつぽつと。ピエール・ベンスーザン、ジェイソン・ムラーズ、森山直太朗、ジュリアン・ラージが特に大好物

Collings OM-1A JL Traditional Julian Lage Signature (サウンド編(2/2))

ジュリアン・ラージの愛機1939年製Martin 000-18を徹底的に研究して、ビル・コリングスとジュリアンが2年間の歳月をかけて完成させたCollings OM-1 JL。
 
 
当然ながらジュリアンの愛機そのもののサウンドをここで確認することはできませんが、それと同じ42.9mmナローネック、リアシフテッド・ブレーシング、T-Bar仕様という特徴を有した1941年製Martin 000-18とサウンド比較してみようという試み。
 

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前回お伝えした通り、Collings OM-1 JLのデフォルト弦であるダダリオNB1253から、同じくダダリオのEJ16弦に交換して、どちらも同じ弦に揃えた上で、この1週間じっくり検証してみました!
 
 
ちなみに使われている材は、トップはどちらもアディロンダック、サイド&バックおよびネックはホンデュラスマホガニーでまったく同じです。
 
異なるのは、指板とブリッジ。Martinはブラジリアン・ローズウッド、他方Collingsはエボニーが使われています。一般的にはローズウッドの方が柔らかいサウンド、エボニーの方が硬質なキレのあるサウンドになるようなイメージがありますね。
 
また材以外で、わかりやすくサウンドに大きな影響を与えると考えられるのは、スケール長の違いですね。OMはドレッドノートと同様のロングスケール、少し短い000-18はミディアムスケールとなっています。こちらも一般的にはスケールが長いOMの方がメリハリの効いた緊張感のある鳴り、000-18の方は温かみのあるサウンドのイメージがあります。
 

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ちなみにこうして並べてみて初めて気づいたんですが…
 
 
サウンドホールからブリッジまでの距離が、それぞれ微妙に違う?OMの方がちょっと遠い?
 
 
実際に測ってみたところ、OMの方は約88mm、000-18は約80mm。1cm弱の差がありました。単にボディーサイズやブリッジの位置は一緒で、長さの違うネックをつけるだけなのかと思ってたら、全然そうじゃないんですねー。
 
確かになんとなく以前から、OMの見た目って000-18と比べると少し鼻の下の長いぬぼーっとした顔に見える気がしてたんですが、実際に鼻の下が長かったとは…。全く知らんかった。
 
 
 
さてさて、前置きはこのくらいにして。
 
●サウンド比較実験 ①
『レギュラーチューニングで比較!』
 
弦をEJ16に揃えてみたことで、やはりニッケルブロンズ弦 NB1253によるサウンド影響は、かなり強くあったことがわかりました。
 
低音域がドーンと鳴る、芯が太い、ミッドが強め、倍音成分はやや控えめ…といったあたりの、NB1253を張った状態で感じられたCollings OM-1A JLの特徴的なサウンド傾向は、ニッケルブロンズ弦によってかなり補強されていたと感じます。
 
もちろんEJ16(フォスファーブロンズ)に変えても、このようなサウンド傾向は充分に感じられますが、このギターが元々有していたそれらの特徴を、更に数段階ブーストして表現するような効果がニッケルブロンズ弦にはあるようですね。『まるでドレッドノートみたい!』と感じられたのは、間違いなくニッケルブロンズ弦の影響がある程度はあったと思われます。
 
逆にEJ16に変えることで、いわゆるマホガニーのギターに特徴的なサクサク感、軽やかさが、グッと強く前に出てくるようになりました。また、フォスファーブロンズ弦の特徴でもありますが、倍音が増えて少しキラキラしたサウンドになります。
 
ヴィンテージ感という観点では、どっちもどっちで、おあいこですかね(笑)。『サクサク軽やかで抜けの良い感じ』という面ではEJ16の方に分がありますが、一方で『基音が強くて芯があるけどドライ』という面ではニッケルブロンズ弦の方に分があります。
 
ちなみにこの『サクサクな軽やかさ』と『芯があるけどドライ』といった一見相反するような要素。うちの1941年製 Martin 000-18もそうですが、これらのサウンド要素をどちらも同時に共存させているというところがやはりヴィンテージの凄いところなのかもしれません。これはやはり、ヴィンテージとして成熟するための長い年月を経て初めて得られるサウンド特性なのかもしれませんね。
 
例えば…
ジュリアンの愛機、1939年製Martin 000-18みたいな音ですね。
 

 
 
そしてもうひとつ。
弦を揃えたことでより一層際立って感じられたのは、
 
『コリングスのありあまるパワーと、楽器としての精度の高さ』
 
…でした。
 
こちらがどんな風に弾いても、表情一つ変えずにゆとりを持って、軽々とナイスサウンドとしてはね返してくるようなギターです。まるでこちらが子供扱いされているかのような、余裕しゃくしゃくっぷりなのです。
 
 
この段階で、Martin 000-18とCollings OM-1A JLをあえて例えて比較するなら、
 
『どちらも名車だけど、排気量が全然違う』
 
…って感じですね。
 
排気量がとてつもなく大きく、アクセル踏んでも車体はまったく振動しない。風切り音も、エンジン音もほとんど聞こえず、まるで地面の上を滑っていくかのように、無段階変速ギアで自由自在に加速・減速するような…。このCollings OM-1AJLを弾いてて感じるのはそんなイメージなんですよね。ホントよくできたギターなんでしょうね、コリングスって。
 
 
●サウンド比較実験 ②
『OMだけ1音下げチューニングで比較!』
 
ここまで2本のギターを同一条件で比較してみましたが、やはりスケールの違いの影響が大きいんでしょうか。弦の種類が揃っても、OMの方が明らかにハリのあるブライトなサウンドであることには変わりありませんでした。
 
そこで試しに、Collings OM-1A JLのみを1音下げのチューニングにして、サウンドを比較してみました。
 
 
効果てきめんでした!!
 
 
なんとなんと!思った以上に、Martin 000-18に近いサウンドになりました!!
 
ダウンチューニングによってタイトなテンション感が薄れ、その代わりに温かみがあって、口の中でホロホロ崩れるような、まるで和三盆(※和菓子によく使われる高級なお砂糖)のような上品な甘さのあるサウンドが出てきます。これは000-18の特徴的な部分とすごく重なります。とってもいいです!これ、新品とは思えません!!
 
 
ただしそうであっても、これを持って『ヴィンテージとまったく同じサウンド!!』とまで言うのは控えておきます!笑
 
系統としてはとても近いサウンドで、とても魅力的なサウンドであることになんの疑いもありませんが、やはりヴィンテージサウンドとは全く一緒ではないのです。
 
先ほども書いたような『サクサク軽やか』だけど『芯があって基音が強くてドライ』っていうヴィンテージサウンドを獲得するには、やはりある程度の年月が必要なんでしょう。まぁ当たり前ですよね。
 
 
ちなみに、今回手に入れることができたCollings OM-1A JLには、ヴィンテージサウンドを得るために極薄のラッカー塗装、しかも艶消しのサテンフィニッシュが施されています。これ、手触り的にもまるでヴィンテージっていうくらいに本当によくできてるんです。
 

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実際この写真の通り、サテンフィニッシュは落ち着きがあっていい味出してますよね。特にバックのマホガニーは、杢目や導管の凹凸が浮き出るくらいの薄い塗装になってることが、写真の照明が反射して白くなっている周辺を拡大してみると分かると思います。
 
 
ここで比較のために、1941年製、今年77歳のMartin 000-18も見てみましょう。
 

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先程のコリングスの写真では、反射している照明の白くて丸い形がそのまま映ってみえていますが、こちらのヴィンテージマーティンでは、杢目の凹凸の乱反射によって照明の丸くて白い形が崩れて、滲んで映ってみえますね。このくらい杢目が浮き出るまでラッカー塗装が引いて、木材とラッカーが一体化しているんですね。そりゃ、新品とは異なる鳴り方をして当然ですよね。
 
 
先ほどの写真の通り、Collings OM-1 JLは新品の時点で、めちゃくちゃ薄い塗装です。新品からして既にヴィンテージテイストのサウンドを備えたこのギターが、実際の経年変化による真のヴィンテージ特性を身につけた時、果たしてこの子はいったいどんなトンデモナイ音を鳴らしてくれるのか…。
 
 
そんなことも楽しみにしながら、末永くこの子と仲良くしていこうと思います!
 
ちなみに当面は、Martin 000-18とは異なるサウンドを狙って、ニッケルブロンズ弦 NB1253を張ったダイナミックなサウンドを楽しんでみようかなと思ってまーす♡
 
 
(お・し・ま・い)
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