ぷんギターズ Blog

ぷんギターズ【公式】のブログ。アコースティックギター、ヴィンテージギター、好きなことをぽつぽつと。ピエール・ベンスーザン、ジェイソン・ムラーズ、森山直太朗、ジュリアン・ラージが特に大好物

Martin Custom Shop D-42K2 オールコア ハイドグルー(後編: 弾いて楽しむ)

(前回からの続きです)

 

こと見た目だけで言えば、以前カタログラインナップに存在していたMartin D-42K2と区別がつかない今回のMartin Custom Shop D-42K2。

 

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しかし、実はこのマーティンカスタムショップ製のD-42K2には大きな秘密が隠されています。それはすべての部分の接着にハイドグルー(にかわ)が使われているという点。“Hide Glue Complete” というオプションが指定されて、オーダーされているのです。

 

blog.punguitars.com

 

ニカワ接着によるサウンドへの影響は諸説ありますし、上記リンク先の記事でも少し書いていますのでここでは省略しますが、少なくとも個人的な好みとしては、このニカワ接着に加えてオールラッカー塗装(あるいはヴァーニッシュ塗装)が施されたギターのサウンドは好きです。音が良いとか悪いとかの違いでは当然なくて、単純に伝わってくる音を構成する要素の情報量が多いというか、液晶テレビで言うところの画素数が多いというか…。

“ニカワ接着+ラッカー塗装のギターは音に深みが出る” とかそんな風に表現されることが多いのも、なんとなくそういう理由なのかなとすごく大雑把に捉えています。

 

そういえば巷でよく、『マーティンナザレスファクトリーの職人の中でも、ハイドグルーを使った製作ができる高い精度の技術や実力を持った職人はごくわずか。故に、ハイドグルーのカスタムショップ製マーティンは、ハイドグルー接着のできる高い技術を持った職人が製作を担当することになるため、ハイドグルー接着そのものの影響によるサウンドへのプラス効果だけでなく、より精度の高い製作技術によって組み上げられたことによるプラス効果が付加されているはず…』みたいな説を耳にしますが…

 

これは今回出来上がってきたカスタムショップ製Martin D-42K2の実際のオーダーシートの一部。

 

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なんと仕様の冒頭に、“Hide Glue Complete” と書かれているのがわかると思います。

これはあくまでボクの想像ですが、このオーダーシートを元にその後のファクトリー内での製造工程の手配がなされるのだとすれば、このオーダーシートで一番最初に記述されるべき仕様は、その後の製造工程における一番大きな分岐を左右するオプション仕様なのではないか、つまり、ハイドグルー仕様かそれ以外かで、例えばそもそも担当する職人が異なるとか、そういった大きな分岐を決めているということを示しているのではないか…と。まぁ想像ですけど。

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そんなことを考えながら、今回のMartin D-42K2 Hide Glue Completeを弾いてみたわけなのですが…

 

●まずはなにより、とても新品の音がします。あえて誤解を恐れずいえば、まだまだ “元気いっぱいの材木の音” とでも言いましょうか、素の材木をそのまま叩いて鳴らしたような、まだ青いというか、若い音を感じます。ただ、それも手元に来てから3ヶ月弱経って、最近は少しずつサウンドが落ち着いてきたような気がします。

●一般的なオールコアのギターが想起させる、カラッとしたとか、シャリシャリしたとかそういった印象は、意外なほどにあまり感じません。ハイからローまでバランス良く鳴っています。これはさすがカスタムショップ製、そしてハイドグルー効果ということなのかな。

●音の立ち上がりが鋭くて、鳴り始めのトーンやボリュームが速やかに一定の幅の中に収まってくる印象があります。これは、メイプルとかコアとかのギターに共通の感覚ですね。これがアルペジオ一音一音の安定感、粒ぞろい感を生み出します。

●ゆらゆらしたコーラス感がスゴイです。単音も和音も、エフェクターが掛かっているんじゃないかってくらい、綺麗で涼やかな揺らぎがあります。ドレッドノートのオールコアというこの組み合わせがそうさせるのでしょうか。

●ある種、張りつめた緊張感のあるサウンドです。あえていうと、少し人工的なサウンドニュアンスがあります。ウッディーさの中に、鉄琴とか風鈴とかの無機質なプレート感のあるサウンドニュアンスを感じるんです。そしてそのおかげで、一音一音がとても遠くまで届きそうです。

 

これね、正直インプレを伝えるのがとても難しいギターです。いわゆる一般的なソロギター向きではないかもしれませんが、フュージョンとかニューエイジ系の無機質なインストゥルメンタルにはむしろ凄く合うはず。そしてあえて言うまでもなく、弾き語りやバンド編成の中で、オーガニックな“人の声”と共演することで、とても良い相乗効果を出せるギターだと思います。

 

とはいえ、なんだかんだ言ってもまだ新品ですので、まずはこれから1年、2年と弾いて歌っていく中で、このギターのポテンシャルを更に探ってみたいと思います!(*゚∀゚*) 

 

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